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ミレイは音量をいくつか下げる。
「リヴァル。いつも言ってるでしょう?電話口でそんなに叫ばないでって。‥‥それで?何が大変なの?」
学校内での口調のままミレイは冷静にリヴァルに訊ねる。
『落ち着いてる場合じゃないんですってばー。ルルが、転校したって担任がッ。あいつ、おれ達にも何の挨拶もなしでッ』
リヴァルのテンパッた言葉に、カレンは驚いてナナリーを見る。
「ルルちゃんが?‥‥とにかく落ち着いて。わたしはおじい様の用事で数日は戻れないのよ。戻ったらおじい様に詳しく聞くから、それまでは静かに待ってて」
『そんなに待てないって会長。だって、クラブハウスには』
「リヴァル。良いリヴァル。とにかく、今は騒がないように。生徒会の仕事は貴方とシャーリーとニーナに任せるから、わたしが戻るまでは」
『‥‥会長、もしかして理事長に何か聞いてたんじゃ‥‥』
「聞いてた事もあるけど、‥‥こんなに早くとは思わなかったと言うか‥‥。とにかく騒がないで。わたしも用事をさっさと終わらせて戻るから、ね?」
『‥‥わっかりました、会長。大人しく待ってますんで、さっさと戻ってきてください。じゃ、切ります』
何かを吹っ切るように明るく応じたリヴァルは電話をかけてきた直後には失っていた落ち着きを取り戻していた。
切れた電話を元に戻したミレイは、深々と溜息をついた。
「‥‥すみません、ミレイさん。ご迷惑をおかけしてしまって‥‥」
「あ、ナナちゃんのせいじゃないわよ。単にリヴァルの勢いに疲れただけだから」
申し訳なさそうに謝るナナリーに、ミレイは明るく応じる。
「‥‥てか、転校?って‥‥まさかホントに学園を出てきたの?」
「ルルちゃんとナナちゃんはね。‥‥カレン、学園で余計な事は言わないでちょうだいね?ややこしい事になると困るから。‥‥特に、」
「あーのーさー?なんか、隠してるっぽいね~?"カレンさん"、"ルルちゃん"て誰?」
朝比奈が割って入って訊ねる。
「‥‥生徒会のメンバーよ。わたしのクラスメイトの。さっきのリヴァルもだけど」
「それがさっき言ってた先行したっていうアイツ?」
「‥‥‥‥‥‥。そうよ。ナナちゃんの、」
渋々応じるカレンは、再び起こった受信音に言葉を途切れさせる。
再びミレイが携帯に視線を落とし、カレンが頷くのを待って通話ボタンを押した。
『会長、おれです』
電話の相手を推測できたカレンは、複雑な表情でミレイとナナリーを見比べる。
「どうしたの?何か有った?」
ミレイは少し焦った、強張った声音で訊ねていた。
『いえ、経過報告をと思いまして‥‥。キョウトとは話がつきました。三日後、黒の騎士団を護衛につけてくれるそうです。合流の手はずを』
言葉の内容に、ミレイと咲世子、カレンと仙波、朝比奈はそれぞれ顔を見合わせた後、電話をマジマジと見てしまう。
「あ、あのね、今、その、‥‥もう、黒の騎士団にいて‥‥。こっちでも話はついたわよ」
我に返ったミレイは慌てて返事を返す。
『‥‥そうですか。流石ですね、仕事が早い。ではまた連絡を入れます』
「あ、待った。今リヴァルから連絡が有って、転校の話、出たって怒ってたわ」
『‥‥リヴァルからならおれも連絡を貰いましたよ、先程。‥‥でも、仕方が無いですし‥‥』
「仕方がないで簡単に済ませないで欲しいのだけど?」
『お小言なら後で幾らでも。では会長、頼みます』
それを最後に通話が切れる。
「こらルル~。こっちの返事も聞きなさいよね~‥‥まったくもー」
切れた電話に向かって、ミレイは毒づいた。
「‥‥あのさー?桐原公と面識ありそうな"ルルちゃん"ってホント何者なんですかー?」
朝比奈が警戒しながら訊ねる。
「‥‥‥知らないわ。ルルちゃんがどういう人脈をどこで作ってるかなんて聞いてないもの」
ミレイが力なく首を振って応じる。
「"カレンさん"は?」
「わたしも知らないわ。けど、あいつは"日本人"を助けるのが趣味みたいだから‥‥その繋がりかも‥‥」
カレンはルルーシュが日本人を助ける現場を一度ならず見ており、不機嫌そうにそう応じた。
「日本人を助けるのが趣味?あのルルちゃんが?へー‥‥。結構斜に構えてたように思ったんだけど、そっかそっか~」
少々驚いたミレイだが、一人納得して嬉しそうに頷いていた。
軽くノックされ、扇が顔を出す。
「部屋、とりあえず準備は出来たぞ、カレン。これが鍵。任せても良いか?」
「ありがとう、扇さん」
「それと、四聖剣の人はラクシャータが呼んでる。調整したいから来てくれって」
「わかりましたー。行きましょう、仙波さん」
「じゃー、案内するからついて来て。ミレイ会長」
そうして、第二会議室は無人になった。
「‥‥どういうつもりだ?ゼロ」
ゼロの私室で、藤堂が訊ねる。
「別に。‥‥表のわたしを消そうとしているだけだが?」
「それは聞いた。‥‥そうではなくて、彼等に対する態度、だ」
藤堂は違うと首を振って聞きなおす。
「‥‥騎士団の活動に巻き込むつもりはないな。‥‥ルルーシュ・ランペルージは間もなく死亡する事になる」
ゼロの言葉に藤堂は気色ばむ。
「‥‥どういう事だ?」
「‥‥キョウトから、租界に入った辺りでルルーシュ・ランペルージは事故死する。‥‥暫くは身元不明だが、彼等がキョウトに着いた後、判明するだろう」
藤堂はこの部屋に入ってすぐにゼロの仮面を取るのだったと悔やむ。
仮面のせいでゼロがどんな表情で己の死を語っているのかがわからないのだ。
「妹君が悲しまれるぞ」
「神楽耶が慰めるだろう。‥‥と、言うより、あの子は兄の死を認めない、いや、信じないだろうな」
「何‥‥?」
訝しげに藤堂が訊ねるが、ゼロはスッと立てた人差し指を仮面の前に持ってくる。
そしてノック。
「‥‥なんだ?ディートハルト」
「先程、ロイド・アスプルンドが外に出ましたので、報告に上がりました」
「‥‥御苦労。奴は腐っても軍人だから問題ないだろう。連絡が有るまで放っておいて構わない」
扉越しに、ゼロとディートハルトのやり取りがおこなわれる。
「‥‥あの。『軍人だから問題ない』とは、何を指してのお言葉でしょうか?」
「単独でゲットーを歩いていても問題にはならない、という意味だ。日本人である篠崎咲世子も同様だな」
「‥‥それは、残る二人には護衛をつけると言う事ですか?」
「彼等も己の立場は分かっているだろうから、無暗に外に出たりはしないとは思うがな」
「‥‥‥‥。わかりました。失礼します、ゼロ」
その返事の後にディートハルトの気配が遠のいていった。
「‥‥あの子はおれの素性に気づいていたようだったからな。全く、いつから気付いていたんだか」
ゼロが自嘲気味に笑って、中断していた藤堂の問いに答えた。
「残りの三人と、君の関わりを尋ねても構わないか?」
無理に聞こうとは思わないがと、藤堂が訊ねてみると、ゼロはわりとすんなりと答えた。
「‥‥アッシュフォードは母の後見の家の者だ。‥‥今はおれ達を匿ってくれている。特にミレイからは騎士になりたいとまで言われていた」
「‥‥騎士に?‥‥少し雰囲気が合わないのだが‥‥」
「匿われるようになってからだな。それまで以上に明るく振る舞って、あいつはおれ達を元気づけようと必死になっている」
「悪いが強そうにも見えない」
「あれも相当な猫かぶりだからな。‥‥ロイドも、まだ母が健在だった頃、おれの騎士になりたいのだと言っていた。死んだと聞かされて尚諦めていないとは‥‥」
「それで連絡を取ったのか?」
「そうだな。‥‥まさかスザクの上司だとは思わなかったがな‥‥」
その名が出た事で藤堂はハッとする。
「匿われていた学園を去るのは、スザク君のせい、か?」
「あいつがユーフェミアの騎士になれば、あいつの周りにも調査の手は伸びるだろう。同じ学園、同じクラス、同じ生徒会‥‥必ずおれの所にまで辿り着くからな」
「‥‥それをスザク君には‥‥?」
「言ったさ。スザクが学園に転校してきて再会した時に。『おれはここに匿われている』と。‥‥スザクにはそれだけでは言葉が足りなかったようだがな」
匿われているとは、隠れて生活していると同義語だ。
目立つわけにはいかず、調査対象になるわけにもいかず、ブリタニアの公的な場所には出るわけにはいかず‥‥、それをスザクはわかっていなかったのだ。
「ロイドが戻ったのは、仕事でスザクを忙しくさせて学園へ暫く行かせないようにする為だろう。スザクは敵に回せばそれなりに厄介だからな」
「‥‥スザク君よりも、彼を信じているのか?」
スザクの邪魔をするというロイドを疑わないゼロに、藤堂は思わず訊ねていた。
「‥‥信じる、か。‥‥一番信じているのはナナリーだ、次いでC.C.か。‥‥それから藤堂、ロイド、ミレイ、‥‥カレンの順だな。後は仙波達四聖剣に扇、だな」
自嘲気味に笑ったゼロは、指折りどんどんと人を挙げていくが、いつまでたっても出てこない名前に、藤堂は再び驚いていた。
「スザク君を信じる事は、やめたのか?」
「あいつがどういうつもりだったのかは知らないが。‥‥ユフィの騎士になったからな。あいつが護るのはユフィだけだし、そうでなければならない」
「‥‥」
「‥‥騎士は主ただ一人だけを護る存在だ。スザクはユフィを選び、おれの敵であるブリタニア皇族に与した。道は完全に分たれている」
「‥‥‥‥君は、それで良いのか?」
「良いも何も、覆しようのない事実だ。‥‥もしスザクがユフィを裏切るのならば、おれはスザクを許さないだろう。そして他の騎士をも敵に回す事になる」
藤堂の躊躇いがちな問いかけに、ゼロはスッパリと言い切ったのだった。
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作成 2008.01.14
アップ 2008.02.23
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ナナリーin騎士団【4】ミレイの電話。ゼロの私室にて(ルル+藤堂)。
リヴァルの電話から。
電話のタイミングが難しいなぁ....(汗
後半はゼロと藤堂によるシリアスな話し合い?スザクは見切りをつけられてしまってますね~...