04 | 2025/05 | 06 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | ||||
4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 |
18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 |
25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 |
(「父の日騒動」続編【11】/藤堂+ゼロ)
「る、ルルーシュ、君?‥‥その、嫌だったか?こうされるのが」
急にルルーシュの様子が変わった事に気付いた藤堂は慌てる。
そう言って身体を離そうとして、しがみ付かれたままなので、断念して。
優しく、というか恐る恐るに近い状態でルルーシュの背中を撫でて宥める。
「‥‥ぃぇ。‥‥そうじゃなくて‥‥」
フルフルと微かに首が振られるのが藤堂の胸に伝わってきた。
「ルルーシュ君。おれの存在は君にとって安らげるものか?」
そうで有って欲しいと願いながら藤堂は尋ねる。
「ぇ?あ、はい。藤堂さんの側は安心出来て‥‥‥‥」
唐突の言葉に、ルルーシュは答えとなる言葉を捜しながら紡ぐ。
それが分かったのか、藤堂はルルーシュが言い終わるのを待った。
「‥‥だからおれは期待してしまったんです」
そう言って顔を上げたルルーシュはひたと藤堂の顔を見た。
「今まで『父の日』なんて何もしなかったのに‥‥‥‥」
ルルーシュの言葉に、藤堂は「あぁ‥‥」と納得した。
───────────
2008.08.19作成
2008.08.29-2008.09.05up
2008.09.28再録
(藤ルル前提/騎士団/ギャグ?)
幹部会議の席で、ゼロの爆弾宣言を聞いた列席者は、頭が真っ白になるのを感じていた。
扇は元より、普段は煩い玉城も、慎重論やまともな意見を述べる事が多い杉山や井上も言葉もないようだ。
そんな中、四聖剣は笑いを堪えながらも哀れみの篭った視線をそっと藤堂に向ける。
ついでにその内の3人は朝比奈に非難の眼差しを向ける事も忘れていなかった。
藤堂はいつもならば真っ先に「関係ないだろう!?」と反対しそうなのに、どこか放心したように黙していた。
なので、最初に声を上げたのは、我に返ったカレンだった。
「‥‥なななななな。何故騎士団でそんな事をする必要があるんですか!?」
「突飛な事は学園だけで十分だわッ!」と内心で憤るカレンだが、それをそのままゼロに言うわけには行かず。
「‥‥ですが、ゼロ。この場合、当然ゼロも参加なさるのですよね?」
「そうなるな。正体を曝すつもりはないから、判らないように念を入れるつもりだが」
ディートハルトの問いに答えたゼロに、ディートハルトは満面の笑みを浮かべる。
「それでしたらわたしは反対など致しませんとも。どんな姿にでもなりましょう」
二つ返事で賛同を示したディートハルトに、一同戦慄を覚える。
「「「「「はんた~~~~い!!!断固反対する!!」」」」」
突然の大音声に、ゼロは驚き、思わずといった状態で身を引く。
「おれ達は『正義の味方』と言う名のテログループだ。そんな事をしている場合ではないと思う」
「そうだそうだ。そんな事する暇があるなら作戦の一つでもやった方が有意義だぜ」
「玉城に賛成!」
「ゼロ!お願いですから、ブリタニアのそれも学生の真似なんてやめましょう!」
カレンの言葉に一同頷く。
そうして、ゼロ発案の「黒の騎士団男女逆転祭<カレンの学園より転用>」は否決された。
藤堂と四聖剣がそれを喜んだ事は言うまでもない。
「う~む。不参加は認めないつもりだったのに、案自体がなくなるとは‥‥」とゼロが呟いていたとか。
───────────
2008.06.05作成
2008.06.23-2008.07.01up
2008.07.06再録
(藤ルル/ギャグ?)
笑いの発作が収まらない四聖剣はよろよろと部屋を出て行った。
その状態で藤堂の傍にいると、藤堂が果てしなく落ち込み続けていくようだったからだ。
災難なのは腹を抱えてよろよろと進む3人とその後をとぼとぼと歩く1人を目撃した団員達だった。
普段からは考えられないような四聖剣の有様に、目を疑い、己を疑い、部屋に篭る者が続出したようであった。
藤堂が1人になって暫く、控えめなノックに続いて開いた扉からゼロが入ってきた。
「‥‥藤堂。‥‥1人か?」
いつもなら誰かしらいる四聖剣の姿がなく、ゼロは逆にそれを不思議に思う。
「‥‥‥認めたそうだな?」
藤堂がボソリと呟き、ゼロは首を傾げて「何を?」と聞き返す。
「朝比奈に。おれが‥‥」
「あぁ。あれは藤堂が話したのか?朝比奈の奴、『おれが皇子』だとか言っていたが‥‥」
ゼロの言葉に藤堂は顔を上げ、正面からゼロを見る。
どうやらゼロの中では「藤堂=姫」の図式は存在しないらしいと思って藤堂は心底ホッとした。
「いや‥‥。それに、『皇子』ではなく『王子』。‥‥例えの話だろう?」
そう説明した藤堂、それを墓穴だと人は言うのだろう。
「ん?‥‥‥あぁ、ならば朝比奈が言いたかったのは藤堂が姫だと言う事か?」
さらっと言ったゼロに、藤堂はがっくりと脱力して肩を落とした。
ゼロは珍しい藤堂の姿に仮面の下で破顔すると、藤堂を包み込むように優しく抱きしめた。
「どんな姿でも、おれには貴方が一番ですから」と言うゼロに、藤堂は身を預ける。
ゼロの胸の鼓動が心地良く、藤堂は暫くその音に耳を傾けていた。
その為、藤堂はゼロの「たまには羽目を外すのも良いかも知れないな」と言う呟きを聞き逃した。
藤堂がそれを後悔するのは、少しだけ先になる。
───────────
2008.06.05作成
2008.06.18-2008.06.27up
2008.07.05再録
(藤ルル前提/藤+四/ギャグ?)
朝比奈が部屋に入ると、途端に視線の集中砲火を浴びて怯んだ。
ゼロと話をしてきたばかりだと言う事も有って、ダメージは大きい、かなり。
特に藤堂の視線がかなり怖く、朝比奈は逃亡したいと切望した。
「‥‥朝比奈、貴様‥‥」
低い、藤堂の声が、逃亡を未然に防ぎ、いや塞ぎ、退路を断たれて朝比奈はすごすごと進む。
「な、なんですか?藤堂さん」
へらり、と笑いながら朝比奈はそう尋ねる。
「誰がなんだと?」
完全に目が据わっている藤堂に、残る3人はほんの少しの同情を篭めた視線を朝比奈に向けた。
「えッ‥‥と。だってさっきゼロは認めましたよ?『知ってたのか?』って聞かれたくらいですし」
とゼロを持ち出してみた。
驚きに目を見開いた仙波、卜部、千葉はバッと藤堂を振り返り、再び笑い出してしまう。
藤堂は「それは違う」と言いたかったのだが、その後の説明が出来ないので黙るしかない。
藤堂は笑う部下を前に果てしなく落ち込んでいた。
───────────
2008.06.04作成
2008.06.14-2008.06.23up
2008.07.04再録
(藤ルル前提/藤+四(-朝)/ギャグ?)
誰かが入ってくる音が聞こえて、仙波と卜部、千葉の3人は扉を振り返る。
やってきたのが藤堂と判り、堪える間もなく、思い切り噴き出した。
普段落ち着いた3人が見せる転げるような笑い方に、藤堂は入ってすぐに足を止めた。
有り得ないものを見るような目で見ていたが、一向に収まる様子を見せない3人に藤堂は口を開いた。
「‥‥何故笑う!?」
「も、‥‥申し、訳ありま‥‥せぬ」
笑い過ぎてまともに話せない状態でも何とか言葉を出そうとした仙波が謝るがそれも続かない。
「‥‥り、‥‥理由はッ‥‥朝比奈にッ‥‥‥聞いてください」
千葉が何とかそう言って、それでも笑いの発作は納まらないのかお腹を抱えていた。
卜部などは声もなく笑っていて既にかなり苦しそうである。
藤堂は「‥‥壊れたか‥‥」と内心呟くと、少し離れた場所に座った。
藤堂が事情を聞いて渋面を作るまでには、まだ少し時が必要だった。
───────────
2008.06.03作成
2008.06.12-2008.06.18up
2008.07.03再録
(藤ルル前提/ゼロ+朝/ギャグ?)
朝比奈に「立場が逆じゃないですか?」と言われてゼロの仮面が傾いた。
「‥‥藤堂がリーダーになるべきだと言っているのか?」
藤堂至上の四聖剣である朝比奈の言葉だから、腹も立たずゼロは問い返す。
「違います。騎士団とは全然関係ないですよー」
「なら、なんの立場だ?」
不思議そうに尋ねるゼロに朝比奈は先程の怒鳴り声と説教を思い浮かべて押し黙る。
「‥‥‥朝比奈?」
「えっと。ですねー。ほら、最初に捕まっていた藤堂さんを助けてくれたじゃないですか」
名前を呼ぶ事で続きを促された朝比奈はそう言って話し始める。
「ああ。そうだな。‥‥それが?」
「で、普通助けを待つのはお姫様で、助けるのは王子様じゃないかなぁ~って」
朝比奈は何気なさを装い、そう言った。
「‥‥‥知っていたのか?」
しかし、少し驚いたようなゼロの言葉に、朝比奈の方が目を限界まで見開いて驚く事になる。
印象が強烈だっただけに、ゼロの肯定にも取れる返事に、「藤堂さんが姫‥‥ホントに!?」と思ってしまった為だ。
そして、それを尋ねてきっぱりと肯定されるのを朝比奈は恐れた。
その為、朝比奈は「話がそれだけなら行くぞ?」と言って立ち去るゼロの背中を呆然と見続ける事になった。
───────────
2008.06.03作成
2008.06.10-2008.06.14up
2008.07.02再録
(藤ルル前提/四聖剣/ギャグ)
その疑問を最初に提示したのは朝比奈だった。
その場にいるのは四聖剣だけで、残りの3人は質問の意図が判らず首を傾げる。
「だから、藤堂さんとゼロですけど」
朝比奈は言う。
「朝比奈、何が逆だと言うんだ?」
千葉がはっきりしない質問内容に「いつもの事だが」と思いながらも尋ねる。
「えーとぉ。ほら藤堂さんとゼロって付き合ってるじゃないですか?」
朝比奈にいわれるまでもなく、四聖剣はその事を藤堂とゼロから知らされている。
その際、ゼロの素顔も見せられ、4人はその美貌に見惚れた。
そして、二人を祝福し他の妨害が入らないように協力する事にしたくらいだ。
卜部が「それで?」と先を促す。
「だから、‥‥立場?」
「朝比奈。判るように話せ」
溜息を吐いた仙波が命じた。
「普通、捕らわれているのは姫で、助けるのは王子ですよねって」
朝比奈の言葉に、3人は思わず想像してしまって噴き出した。
朝比奈が言っているのは、捕らわれた藤堂をゼロが助けた事だと察してしまったからだ。
「ばッ‥‥それやめろ!思わずドレス着た藤堂中佐を姫抱きするゼロが出てきただろう」
卜部が抗議しながら具体的に言ってしまう。
そこまで思い浮かべたわけではなかった仙波と千葉が「ぐッ‥‥」と喉を詰まらせて突っ伏した。
それから暫くした後、なんとか復活した3人から朝比奈が怒られている姿が有ったとか。
───────────
2008.06.03作成
2008.06.08-2008.06.12up
2008.07.01再録
(「父の日騒動」続編【10】/藤堂+ゼロ)
暖かい。
藤堂の腕の中がとても暖かい優しいものに感じられて。
ルルーシュはそろそろと藤堂の背中に両手を回した。
思えば今まで、C.C.という共犯者はいたけれど。
安らげる場所はナナリーの傍だけで。
でも、ナナリーを守らなければという気概が心から安らげなくなっていたこの8年。
ルルーシュはずっと気を張り詰めていたのだと、初めて気付いた。
気付いて、そして安らげる場所を見つけてしまった。
軽く添えるだけだった両手に、藤堂の背中でしがみ付くように力が込められる。
「ルルーシュ君?」
途端に、藤堂の気遣うような優しい声が耳に届いて。
ルルーシュは不覚にも涙を零していた。
───────────
2008.08.18作成
2008.08.25-2008.09.01up
2008.09.24再録
「承知」と応えてしまったが、それでも四聖剣は悩んでいた。
「仙波さん、やっぱり会わせてあげたいんですけど‥‥」
まずは朝比奈がそう言った。
当然ながら側には四聖剣しかいない。
「‥‥しかし。紅月には関わらせる気はないとはっきりと仰られている。何か理由が有るのかも知れぬ」
仙波が藤堂の言葉を無視するのはまずかろうと朝比奈を抑える。
「なら、おれ達が直接」
「ダメだろ、それは。相手はブリタニアの学生だぜ?イレブンが近くをうろちょろしてたら迷惑掛けるだろ」
卜部が諌め、更に「第一、ゼロから租界には出るなって言われてるだろ」と付け加える。
「んー‥‥と、ならブリタニア人って事で、ディートハルトに頼」
「ダメだ」
代案を考える朝比奈の言葉をみなまで言わせず千葉が却下する。
「あの少年にディートハルトを関わらせるのは危ない気がするから、それは却下する」
「むー‥‥。ならC.C.はどうかな?彼女ならピザでつれるかも知れないし。ついでにゼロに言わないように口止めも出来るかもだし」
朝比奈の次なる代案に、千葉は詰まって仙波と卜部を見て「‥‥‥‥どう致しますか?」と尋ねる。
「‥‥‥‥‥‥他に任せられる奴いねぇし‥‥なぁ?」
卜部も渋々と言った様子でそう言って仙波に視線をやり、三人の視線を受けた仙波はこれまた渋々と頷いた。
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥致し方あるまい」
最早心境は「背に腹は代えられない」というやつであろう。
ゼロが来ていない事を確認してから四聖剣はゼロの部屋を訪れる。
旨くすれば、C.C.がいるかも知れないと思って、代表で卜部が扉をノックする。
そして扉は開かれ不機嫌そうなC.C.が顔を出した。
「何だ?‥‥ゼロならば来ていないぞ」
「うん、それは知ってる。ちょっとC.C.に話っていうかお願いが有るんだけど‥‥」
眉を寄せるC.C.に朝比奈がさっくりと用件を切り出し、C.C.は改めて四聖剣の顔を見渡す。
「わたしに?言っておくがゼロの素性とかは話さないぞ。後、話は聞くが、願いは必ず叶えるとは約束できない」
C.C.は眉を寄せたままそう言うと、「それでも良いなら入れ」と言って扉を大きく開いた。
「あー‥‥うん。ゼロの素性とかは知りたいけどそれはまた今度って事で、今回は別件だから入れて貰うねー」
朝比奈はそう言って残る三人を振り返り、頷きが返ってきたのを見届けてから中へと入った。
千葉が続き、仙波が続き、卜部が入るとC.C.は扉を閉ざし、ロックを掛けたのだった。
「‥‥で?」
C.C.は一人どっかとソファに座り、チーズ君を抱え込むと四聖剣に椅子を勧めもせずに尋ねた。
そんならしいといえばらしい行動に四聖剣はそれぞれ苦笑を浮かべる。
「んーと。座って良いかな?てか座るねー?」
そして朝比奈はこちらも我が道を貫くのか、そう言ってから返事も待たずに向かいのソファにさっさと座ってしまう。
「図々しい奴だな。‥‥まぁ適当に座れば良いさ。わたしとしてはさっさと話しなんだか願いなんだか言って引き上げて欲しいところだがな」
一応の厭味だか許可だかの言葉を受けて仙波達もソファに落ち着いた。
「その。租界への使いを頼まれて欲しいのだが」
千葉がそう切り出した。
「租界?何故わたしに?それならばカレンとかディートハルトにでも頼めば良いだろう?」
チーズ君に軽いパンチを喰らわせながら、C.C.はやる気なさげに反論する。
「紅月は事情が有って頼めなくて、ディートハルトは事情がないけど頼みたくないっていうか、なんというか‥‥でな」
卜部が名前の挙がった二人に頼まなかった理由を説明する。
「‥‥なんだそれは。‥‥まぁ、後半は分からなくもないが。それで?」
卜部の説明に呆れながらも理解を示したC.C.は先を促す。
「‥‥‥‥。引き受けて下さるにしろ、引き受けぬにしろ、これからの話は他言無用は是非とも守って頂きたいのですが」
仙波が真面目な表情でC.C.に迫る。
「ふむ。‥‥ならばまずはその口止め料を請求するべきか?」
「お前さぁC.C.。おれ等が言う事じゃないだろうけど、あんまピザばっか喰ってると身体に悪いぜ?」
当然のようにピザを要求するC.C.に卜部は呆れた口調ながらも忠告を入れる。
「ふんっ。ピザの良さが分からん奴は黙ってろ。それで?」
「当然ゼロにも内緒って事で、3枚!」
朝比奈が3本指を立てた手をC.C.に向けながら言う。
「あいつにも内緒なら5枚、だな。あいつは変なところで鋭いからな」
C.C.はにやりと笑って応酬する。
「一体最終的に何枚請求されるんだ?」とは四聖剣の共通の思いだったりするが、誰も口には出さなかった。
「間を取って4枚だな。‥‥良いだろう?C.C.」
千葉が一枚でも減らすべく、そう切り替えした。
「まぁいいだろう。さぁ、時間切れで追い出される前にさっさと話せ?」
C.C.の合意を得て最初の交渉が一段落着くと、四聖剣は頷きあって話を進めた。
「租界にある紅月の通う学園の生徒に言伝を頼みたいのだが」
そう言ったのは仙波で、C.C.はその仙波の顔をマジマジと見ながら内心で心底驚いていた。
しかし四聖剣には呆れているとしか見えず、卜部は苦笑し、朝比奈はへらりとした笑みを見せた。
結果を言えば、C.C.は説明を聞いた後、にやにやとした笑みを見せながら引き受けた。
要求したピザの数は諸々有って大量の20枚。
四聖剣はC.C.に対し、何とか交渉し、合計で20枚のピザを、ピザの代金を支払う事になったのだった。
───────────
作成 2008.08.19
アップ 2008.09.12
(「父の日騒動」続編【9】/藤堂+ゼロ)
急に抱き寄せられた事で、ルルーシュはパニック状態に陥る。
手に持っていた仮面がカタンと音を立ててコックピットの床に落ちる。
カラカラという音とともに一番低い場所まで転がるのが分かった。
「と、藤堂、さん?」
「ルルーシュ君。君はもっと人に甘えるべきだ」
藤堂の言葉に、ルルーシュはそれでなくても赤い頬を更に染める。
ここに来た目的を思い出したからだ。
「仮面をしていて、誰にも頼む事が出来ない、と云うのならば、おれに甘えろ。おれに頼れ」
ルルーシュが言い出す前に、藤堂がそう切り出し、ルルーシュは目を見開いた。
「行事にこだわる必要はない。いつでも時間の許す限り、おれに甘えれば良い。頼ってくれ」
藤堂の力強いその言葉に誘われるように、ルルーシュはそろそろと両手を藤堂の背中に回していた。
───────────
2008.08.12作成
2008.08.20-2008.08.28up
2008.09.15再録