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★hidori様へのリクエスト作品★
(朝ゼロの騎士団日常話 or 周囲からから見た朝ゼロまたはゼロ(ルル)の話)
朝比奈はどう言おうか、どこまで言おうか考えていたが、結局は報告はなされなかった。
「ゼロがあれ程嫌がっているのならば‥‥」そう言ったのは仙波で、みんながそれに頷いたからだ。
普段ならば反対するだろう玉城もまた熱心に頷いていたので反対者は出なかったのだ。
朝比奈はそれに、ホッと息を吐いた。
「最近態度が違うくない?」
「あぁ、朝比奈だろ?」
「朝比奈もそうだけど、ゼロもだよ」
「‥‥やっぱり気になるよな。玉城の奴、一体何の場面を目撃したんだ?」
玉城の目撃騒動から数日、幹部達の間で、そんなやりとりが交わされるようになった。
朝比奈がゼロに対して些細な要求をする場面を何度か見かけ、朝比奈が駄々を捏ねている場面を見かけ。
ゼロはそのことごとくを一言の下に退けているのだが、その口調が何故か優しいと気付いてしまい戸惑っているのだ。
「えぇ~~ッ!」
格納庫に響くような声に、その場にいた者が視線を向けると、ゼロの前に立った朝比奈が声をあげている姿が目に入る。
「何か文句があるのか?」
「とーぜんじゃないですかッ」
呆れた口調で訊ねるゼロに、朝比奈は当たり前だと声を張り上げる。
ゼロは溜息を吐いて言葉を綴る。
「とにかく、わたしは認めない」
「ゼロ~。頼みますって」
「朝比奈。自分がどれ程の声をあげているか、気付いているか?わたしに何も言う気がない事はちゃんと覚えているだろうな?」
「‥‥お願いしますって」
ゼロの言葉に、一瞬周囲に視線を走らせた朝比奈は小声になったもののそれだけで会話を続ける。
「‥‥朝比奈。お前、一体幾つだ?少しはそれを直そうとは考えないか?」
「えー。でもこれもおれですしー?ゼロは嫌ですか?」
「時々な。とにかく、今は忙しい。その話の続きは後だ」
「わっかりましたー。じゃあ後でね~」
朝比奈がぶんぶんと手を振りながら去って行くゼロを見送った。
「朝比奈、お前‥‥」
一人になった朝比奈に、千葉が声を掛けると、朝比奈は千葉を振り返る。
「なんですか?千葉さん」
「最近、ゼロに対する態度が変わってないか?」
千葉の言葉にそれとなく様子を窺っていた周囲の幹部達が「うんうん」と頷いている。
「そうですか?」
朝比奈は自覚がないのかハテナマークを浮かべて首を傾げているようである。
「ゼロは色々と忙しい身だ。あまり煩わせるな」
「別に煩わせてなんていませんて、千葉さん」
「自覚がないのか、貴様は」
「えー。ゼロって本当に迷惑だって思ってるなら、無言で無視して立ち去ってると思いますけどー。呼びとめて玉城とか酷い目に遭ってるけど」
朝比奈の反論に、「そう言えばそうかも」なんて思い当たった周囲の幹部達は頷いてから、「ならなんで?」と首を傾げた。
「それで?『今は忙しい』と言われていただろう?」
「えっとぉ、確かにそーなんですけどね、千葉さん。あれも一種のコミュニケーションというかぁ。ほら、ゼロちょっとギスギスしてたでしょ?」
「それはお前に対してじゃないのか?」
「違いますって。普段はそうそう声掛けないんですけどねー。これからまだ色々仕事残ってるのにあれじゃ参るかなぁって思って」
さらっと言ってのける朝比奈に、「ギスギスしてるらしいゼロとコミュニケーション!?」と驚く一同。
「てぇことはぁ。あんた、もしかしてゼロと付き合ってるなんて言わないでしょぉねぇ?」
ラクシャータがいつもののんびりした口調で尋ねると、玉城が「ぶはっ」と噴いてついで噎せてごほごほと咳き込んでいる。
「‥‥‥‥‥‥」
「‥‥‥‥‥‥」
「‥‥‥‥‥‥あぁあ。玉城怒られるのは一人で怒られなよぉ」
無言で、しかしラクシャータの言葉が真実だと確信してしまった幹部一同に、朝比奈は天を仰いで嘆息しながら、元凶の玉城に愚痴を言った。
その話を朝比奈から聞いたゼロことルルーシュは、「やはり玉城にギアスを掛けておくべきだったか?」と少し後悔した後、開き直る事にした。
以来、他の団員とは違う態度で朝比奈に接するゼロを、幹部達は良く目にするようになった。
「ゼ~ロ。怒ってます?」
「当然だな、朝比奈。貴様が認める発言をせずに否定していれば、玉城が幾ら噎せようが誤魔化せたかも知れないのだろう?」
「うわぁ、とばっちりだー。今更だし、これからは幹部公認なんですから、前向きに考えませんか?ゼロ。好きですよ?」
「‥‥‥‥お前は前向きすぎだッ」
足早になって去って行くゼロを、「あ、待ってくださいって、ゼロー」と朝比奈が追いかけて行った。
「なぁ、おれら、これからずっとあのバカップル見続けないといけないのか?」
「玉城にそれ言う資格ないと思うわよ。あんたがあそこで噴いて噎せたりしなければッ!」
「んな無茶言うなよな、カレン。第一おれがあの時見たのはだな」
「‥‥何よ?」
「あ、今更言うんだ?玉城」
「げ、朝比奈!?なんで?さっきゼロと出てったんじゃ‥‥?」
「うんそうだけど、忘れものしちゃって。言っとくけど玉城。ゼロの怒りが収まるまで不用意な事言わない方が身のためだから。じゃーねぇ」
忘れものらしい書類を手に朝比奈が去って行くのを見届けてから、カレンはポツリと呟いた。
「‥‥朝比奈さんて、最近ゼロへの態度が違うと思ってたけど、玉城に対しての態度も違うくない?」
了
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作成 2008.05.05
アップ 2008.05.13
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hidori様へ。
お気に召していただけましたでしょうか?
リクエスト内容に合致しているかはいまいち不明ですが、
どうぞ、お受け取りください。