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「藤堂!」
ゼロが藤堂の名を呼びながら近づいて来るのを見て、四聖剣は嫌な予感を覚えた。
藤堂とゼロが藤堂の部屋で待ったり過ごしていたのを目撃してからそう日が経っていなかったからだ。
四人が「まさか‥‥またッ!?」と思ってもそれは不思議ではないだろう。
「どうした?ゼロ」
「‥‥今日は時間が取れるか?」
「って待った、ゼロッ!藤堂さんはおれ達とこの後話があるんだから、時間なんてないよッ」
朝比奈があれはもう見たくないと横から慌てて割って入った。
「そうか、わかった。‥‥ラクシャータ」
ゼロはあっさり引き下がり、背中を見せていたラクシャータに話を振った。
藤堂は口を開こうとしたまま固まっており、朝比奈は千葉から殴られた。
「んー?なぁに?事と次第によっちゃ、時間作ってもいーけどぉ?」
振り返ってそう応じたラクシャータは完全にゼロではなく藤堂を見てにやにや笑っている。
「‥‥事と次第?」
ゼロはそう繰り返して首を傾げる。
「わたしは藤堂の代役ぅ?」
「‥‥そうだな。藤堂は断るかも知れないと思ったが、ラクシャータは断らないだろうと判っているからな」
「ふぅん?断るかも知れないと思ってる藤堂に先に聞くくらい藤堂の方が良かったわけねぇ?」
二人は既に隣に藤堂がいる事を忘れ去っているかのように会話を続けている。
「‥‥まぁ、そうだが。時間が取れないと言うのならば、尋ねるまでもないだろう?」
ゼロの言葉を聞きながら、「それを本人のいる横で言うか?普通‥‥」とラクシャータと四聖剣は頭痛を覚える。
というか、邪魔をした朝比奈さえもが頭に手を置いているのは何も千葉に殴られたせいばかりではないのだ。
ラクシャータもまた、「話を振ったのは確かにわたしだけどぉ~」と少し気の毒そうに藤堂を見た。
「ゼロ。ちなみに藤堂中佐に何と言われるつもりだったのですか?」
仙波が気になってゼロに声をかけた。
「‥‥『この間の件、今日も頼めないか?』‥‥だったが、時間がないようだから、それはラクシャータに頼もうかと思っている」
「てかなんでラクシャータ!?てかあれを断らないってゼロとラクシャータってどんな関係?」
「朝比奈‥‥。わたしはその『この間の件』とやらも、『あれ』とやらも知らないんだからねぇ」
ラクシャータが知らないものは答えられる訳ないと朝比奈に抗議する。
「ゼロ‥‥‥‥。今日、それを言って来ているという事は‥‥まさか」
藤堂がかなりの渋面を作りながら、恐る恐ると言った様子で口を挟んだ。
四聖剣は成り行きを見守る為に、藤堂とゼロとを大人しく見比べる。
「そのまさかだ、藤堂。ダメか?‥‥というか時間が取れないんだったな」
「‥‥。‥‥‥‥。いない、のか?」
「あぁ、いない」
「そうか、わかった。引き受けよう。‥‥但し、おれの部屋ではこいつらに苦情を言われるので、出来ればゼロの部屋の方が良いのだが」
「良いぞ。今日はC.C.も来ていないからな。邪魔は入らん。‥‥だが、良かったのか?」
「話は今日でなくても出来る。まさかゼロを一年も待たせるわけにはいかないだろう?」
「‥‥助かる。では待っている。作業が終わったら来てくれ。ラクシャータ。すまなかったな」
「良いわよぉ」
ラクシャータは笑ってゼロを見送った。
「あの、藤堂さん?一年も待たせるとかって何?」
ゼロの姿が見えなくなってから、朝比奈がポツリと尋ねた。
「今日は母の日でしょぉ。夢見でも悪かったんでしょうねぇ」
「ラクシャータ。君は‥‥」
しんみりと言うラクシャータに、藤堂が声をかける。
「知ってるわよぉ。ゼロのお母様がお亡くなりになっているのはねぇ。藤堂こそどうして?」
「以前、『たった一人の家族は』と言ったのを聞いた事がある。それが親とは思えなくてな」
「へぇ。藤堂そんな話、いつしたのぉ?」
「‥‥‥‥子供の日だ」
「良く分かったわねぇ。確かにゼロは成人してないから、子供って言っても間違っちゃいないけどぉ?」
「‥‥ラクシャータって、ゼロの事知ってるみたいに断言するんだなー」
「知ってるわよ、卜部。ゼロのお母様の事、とぉっても尊敬してたものぉ。ゼロも言ってたでしょぉ。わたしなら断らないって」
「言っていたが‥‥それは一体何の話なのだ?」
仙波が嫌な予感を感じつつも、そろっと尋ねる。
「藤堂、あんた、もうここは良いからゼロのとこ行ってきなぁ?‥‥頑張ってねぇ、母親役ぅ」
ラクシャータの爆弾発言に、渋面を作りつつも去って行った藤堂を四聖剣は絶句しながら見送った。
四人揃って奇声を上げ、周囲から注目を集めるまでラクシャータもその場にいる気はなく、キセルを揺らしながら去って行った。
一方、ゼロの部屋では、「母親らしい事なぞ出来んぞ」と言いつつ膝を貸す藤堂の姿が有った。
了
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作成 2008.05.11
アップ 2008.05.11
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母親役選出 ゼロ+藤堂+四聖剣+ラクシャータ。
鯉のぼりと団欒の後日設定。
再び、即席作成。
何が書きたかったのだろう?と首をひねっている。
味をしめたゼロがまた頼もうとしているのは確かでしょうか?