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★hidori様へのリクエスト作品★
(千葉ルルというか、女性陣とゼロ(ルル)の話)
その時、格納庫にいたほぼ全員が驚愕の声を上げた。
ゼロが格納庫に顔を出す事は、それ程珍しい事ではない。
ラクシャータに用が有ったり、ガウェインのメンテナンスをする為に訪れたり、その他にも各種所用で来る事があるからだ。
だからゼロがやって来た事に関しては誰も驚いたりはしなかった。
驚いたのは、千葉がゼロの元へと向かって行った事だ。
‥‥いや、それだけならば、「ゼロに用事があるんだろう」と思うだけで珍しいとは思っても驚き尚且つ声を上げたりはしなかっただろう。
声を上げる程驚いた原因は、千葉の言葉から続いた一連の会話にある。
「ゼロ。この前はありがとう。良ければ礼がしたいのだが‥‥」
「この前」が何を指すのかわからないが、「作業中に持ち場を離れてまで言う事でもない気がする」と言うのが大半の思いだ。
「別に大した事ではない。そう気にするな」
ゼロはさらっと受け流す。
「いや!そうはいかない。‥‥それに‥‥実はまた頼みたいと思っているし、だから是非何か」
しかし千葉は譲らずに首を振った後、心持ち躊躇い気味に付け加える。
「それは別に‥‥。いつもと言う訳にはいかないが、それで良ければ構わないし、礼にも及ばない」
ゼロもまた千葉の様子に戸惑いながら応じる。
すると千葉は誰もが初めて目にするのではないか?という程の満面の笑顔を見せて喜んだ。
「ありがとう、ゼロ。嬉しい‥‥」
ゼロは目の前で自分に向けられたその表情に、仮面の下で驚いて目を見張る。
うっかりそれを目撃してしまった朝比奈と卜部はあんぐりと口を開けて、初めて見る同僚の表情に唖然としてしまっている。
しかしゼロや周囲が驚きから冷めぬ内に、千葉は表情を改め、真面目な面持ちになるとゼロの手を持ち上げて握り締めた。
そして問題の、驚愕の声を上げる原因になった言葉を千葉は発したのだ。
すなわち──
「ゼロ!‥‥いっそ、わたしの嫁になってくれ!!」
突発的な出来事にはからきし弱いゼロは、当然ながら驚いて、手を握られている事も忘れ果てているように固まっていた。
まず我に返ったのは朝比奈だった。
「ち‥‥‥ちちちちち千葉さんッ!!何言ってるんですか!?曲がりなりにも千葉さんは女性なんですから嫁は貰えないですよ!」
しかしツッコミどころは間違っている。
千葉はゼロの手を握ったまま朝比奈にチラと視線を向ける。
「何を言う、朝比奈。わたしよりもゼロの方が良い嫁になる。そしてわたしはゼロよりも良い婿になってゼロを守るから釣り合いは取れている」
きっぱりすっぱり言い切る千葉に、「釣り合いの問題じゃないですよ、千葉さんッ!」と朝比奈は再度ツッコミを敢行する。
「何故だ?‥‥わたしはゼロを幸せにしてみせるし、必ず守る。だからゼロ。嫁に来い」
千葉は朝比奈に対して一言言って首を傾げた後、再びゼロに向き直って真正面からプロポーズをおこなう。
勿論それを黙って見ている事が出来ない者はいる。
ディートハルトが進み出ようとするのを素早く沈めてからカレンが突進する。
「千葉さん、ずるいですッ!」
「ダメだぞ、紅月。わたしに譲る意思はないからな」
カレンのゼロに対する想いを知っていても千葉は大人気なくもそう言い切る。
「そんな酷いです、千葉さん!とにかくまずその手を離してくださいッ!」
カレンが尚も食い下がっていると、いつの間にかラクシャータと井上が近寄っていた。
「確かに千葉さんだけなんてずるいわね。わたしだってゼロを是非お嫁さんに貰いたいもの」
井上がカレンに同意しつつも言うその言葉に、旧扇グループは絶句する。
「あらぁ。あんた達に渡すくらいならぁ。わたしが貰うわよぉ、嫁にぃ。だぁからぁ、千葉、その手を離しなさいねぇ」
ラクシャータまでもが、ゼロを嫁にと言い出し、男性陣は全員パニック状態に陥った。
カレンはまだ判るのだ、常日頃からゼロへの想いを隠そうとしないから、気づいていないのは当のゼロだけだったからだ。
しかし、千葉の奇行に始まって、井上とラクシャータが参戦するに至り、揃いも揃って「嫁に」と言う彼女達に疑問を覚えたのだ。
「‥‥まさかとは思うけどよ。ゼロって女なのか?」
玉城がその可能性に思い至って、恐る恐る尋ねる。
しかし、「馬鹿を言うな。それでは結婚なんて出来ないではないか」と千葉に一蹴されてしまう。
当事者であるところのゼロは未だに放心状態にあるのか無反応なので、説明を求めたい男性陣は途方に暮れた。
「‥‥千葉。とりあえず、ゼロの手を離してやれ。それから、事情を説明しろ」
藤堂が男性陣からの視線に押されるようにして、声を掛けた。
「すみません、中佐。ゼロの返事を聞くまで待ってください」
しかし、藤堂至上であるはずの四聖剣だと言うのに、千葉はそう言って藤堂の言葉を後回しにしてしまったのだ。
これに慌てたのは当然ながら残りの四聖剣である。
「千葉ッ!いい加減にしとけよ。中佐の言葉まで退けるなんて」
「千葉。そのようなプライベートな事は、せめて任務外にするべきであろう?」
「う~ん。ゼロ、返事してあげたら?そしたら落ち着くみたいだし?」
卜部と仙波が千葉に注意をするが、朝比奈は千葉に言っても無駄な事を早々に察してゼロに声を掛けた。
「‥‥‥わたしは男で、嫁になるのは無理だが?何故、そう言う話が出てくるのだ?千葉」
ゼロはまだ状況が良く判っていないようで、断りながらも説明を求めている。
それは遠巻きで見守るだけの男性陣も是非知りたいと思っていた事なので、固唾を呑んで返事を待つ。
しかし続いた千葉の言葉は説明ではなかった。
「平気だ。手続きや形式上はゼロが婿、わたしが嫁で一向に構わない。だから『嫁に来い、ゼロ』」
更にプロポーズは続くらしく、千葉の言葉はおかしいだろうと思いつつも、なんだかどうでも良くなってくる男性陣。
ゼロは溜息を吐いた。
「朝比奈、扇、杉山、ディートハルト‥‥は寝ているのか?‥‥ならば技術班。今は任務中だろう?」
ゼロは女性陣に意見する事を諦めたのか、それぞれに近しい者達に引き剥がすように命じる。
「「「「ゼロ。答えを聞いてない」」」」
「後にしろ、後に。‥‥わたしは藤堂に話が有ってきたんだ」
その言葉に、千葉がやっとゼロの手を離した。
「では、休憩時間になったら返事を聞きにいきますね、ゼロ」とカレンは言ってうきうきと作業に戻る。
「ふぅ~ん。後で答えてくれるのねぇ。楽しみぃ」と言うラクシャータは楽しげに持ち場に戻る。
井上は気負うでもなく「楽しみにしてるわね、ゼロ」と言って杉山に引きずられて離れていく。
千葉だけが「‥‥快い返事を待っている、ゼロ」と真面目に訴えてから、朝比奈の手を振り払いつつ戻る。
ゼロは「とりあえず助かった‥‥」と安堵の息を吐きながら、藤堂への用件を告げるべく、近付いたのだった。
この後の休憩時間で、ゼロが女性陣を相手にどう答えたのか、男性陣が知るのはかなり後の事になる。
了
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作成 2008.06.14
アップ 2008.06.22
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hidori様へ。
お気に召していただけましたでしょうか?
リクエスト内容に合致しているかはいまいち不明ですが、
どうぞ、お受け取りください。
千葉ルル狙って失敗しましたorz。
おかしい。しかもどう考えてもプラスどまりな気もします。
最近今まで以上に文が書けなくなっている気がしてなりません。
そしてすみません。続きそうですがとりあえず以上です。
後程万が一にでも思いつくような事が有れば、
ひょっこり「審判の間」に上がっているかも知れませんがそれも不明です。