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その日、最後の授業をカレンはサボる。
生徒会長のミレイと副会長のルルーシュには既に報告、承認済みの話であった。
一足早く着替えを済ませたカレンは、ソロリソロリと誰にも出会わないように注意しながらミレイの待つ放送室へと向かった。
「‥‥カレン?」
放送室への扉を開くと、中からやはりゼロの衣装を着たミレイが声をかけてきた。
「あ、はい。そうです‥‥が?」
「へ~、似合うじゃない。‥‥じゃ、時間も頃合いだし、始めましょうか」
こうして放送室はゼロ二人に占拠されたのだった。
ピ~ンポ~ンパ~ンポ~ン。
『アッシュフォード学園の諸君。わたしは生徒会長のミレイ・アッシュフォードです。‥‥ただいまより、イベント「黒の騎士団」を開催します』
最後の授業時間も残り十数分と言う段になって、唐突にそんな校内放送が響き渡った。
ルルーシュは、溜息を吐くと、教科書やノートを鞄にしまい始めた、──もう授業は終わるのだ。
教師も、諦めに近い笑みを浮かべている。
『各自、所定の場所に移動の後、着替えてね~。チャイムと同時に命令が飛ぶわよ~』
教室のあちこちで椅子を引くガタガタと言う音が響き、教師がいるのに授業中の教室を飛び出して行く生徒達。
「ルル。おれ達も急ごーぜ?間に合わなくなっちまうぞ」
リヴァルがまだ座ったままのルルーシュに声をかける。
「あぁ、あ。先に行っていてくれ、リヴァル。おれは着替える前にまだする事があるからな。何、開始までには間に合わせるから」
「絶対だぞ~?」
リヴァルは念を押すと、ルルーシュを残して所定の場所へと駆け出して行った。
ルルーシュは再び溜息を吐くと、ゆったりと歩きだした。
「じゃ、ここは任せるわね~」
放送を切ったミレイは、そう言うとカレンの返事も待たずに放送室を出て行ってしまう。
これから審査組のシャーリーとニーナの様子を見に行く予定だった。
カレンはミレイの消えた扉を見て、仮面の下で本性の笑みを浮かべると、そのまま扉に鍵を掛けた。
「後は、スザクの居所を掴んで、指示を出すのと‥‥、みんなを巧く誘導しないといけないわね」
カレンは、改めてマイクの前に座ると、今後の予定を挙げながら、チャイムの鳴るのを待ち望んでいた。
ルルーシュは着替えを終えた後、誰も来ない場所に身を隠していた。
手元には携帯と通信機、それに集音機にマイクなど。
今は通信機が生きていた。
『こちら扇。みんな所定の位置に着いた。‥‥本当にゼロが参加しなくても平気なのか?この作戦‥‥』
「あぁ。問題ない。藤堂の指揮で条件はクリアされる」
ゼロの口調で応じてルルーシュはそっと息を吐き出した。
どうして扇はこうも自信が足りないのだろうとは何度思った事なのか、既に両手の指では足りないだろう。
「目的を達成したら速やかに引き上げればそれで良い。‥‥それは扇、お前も分かっているだろう?」
『あ、‥‥ああ、そうだな。わかった。‥‥えと、ゼロは今、どこに‥‥?』
「租界だ。わたしにもするべき事としておきたい事があるからな。‥‥ッとにかくそちらは任せた。‥‥切るぞ」
ルルーシュが少し慌てて通信を切った直後、学園のチャイムが音高く響いた。
流石にこれを聞かれるわけにはいかなかったルルーシュはホッと息を吐き出したのだった。
『わたしはゼロ。7番のゼロだ。学園内にいる、全ての騎士団団員に告ぐ。速やかに校舎から外へ出たまへ。これは命令である』
チャイムの直後、「ゼロ」の声がスピーカーから溢れ返った。
「‥‥これで、団員姿の生徒全員が一旦外へ出なければならなくなったな」
ルルーシュは「ゼロ」の声を聞いてほくそ笑むと携帯を掛ける。
『もしもし?ルルーシュ?どうしたの?』
「スザクか?今何処だ?」
『今?放送の通り外に出てるけど?‥‥えっと、中庭の方』
「そうか。これから合流したいから待ってて貰えるか?‥‥勿論、新たな指示がなければ、だけど」
『うん、わかった。待ってるよ。指示が有ってもまた戻るから、いなくても待ってて欲しいな』
「わかった。そうする。じゃあ中庭で」
ルルーシュは通話を切ると今度はカレンへコールする。
『はい。‥‥カレンだけど』
「おれだ。ルルーシュだ。約束の件だが」
『‥‥あんた、本気だったの?』
「そう言っただろう?ゼッケンの番号は既に教えたな。現在の居場所は中庭だ」
『‥‥どうして教えるの?』
「約束だからな。‥‥一応待ち合わせをしているからおれも行く予定だが、おれには命じるなよ?」
『え、ええ。わかってるわ。‥‥ありがとう』
「‥‥もう切るぞ」
言うなり通話を切ったルルーシュは、そのまま携帯の電源も切ってしまう。
リヴァルやミレイ辺りからコールがかかるのはいただけないからだ。
「‥‥カレンはうまくやるかな?」
ルルーシュは独り呟く。
今の放送で、採点はカレンが一歩リードしているはずだ。
このまま指示通り動いていれば、最優秀になるのも難しくはないだろうが、何が有るかわからないのでまだ油断は出来ないだろう。
携帯が鳴り、相手を見て予想通りだったと言うのに、カレンは少し躊躇ってから通話ボタンを押した。
「はい。‥‥カレンだけど」
『おれだ。ルルーシュだ。約束の件だが』
変わらない声音で言う相手に、カレンは眉を寄せる。
「‥‥あんた、本気だったの?」
変装している事も手伝って、カレンの猫はすっかり退散してしまっていた。
『そう言っただろう?ゼッケンの番号は既に教えたな。現在の居場所は中庭だ』
淡々と、事務的に言う相手に、カレンの中で疑心は膨れる。
曲がりなりにも親友の事を、イベントとは言え、何をするかもハッキリ言っていないというのに、こうも教える事が出来るのだろうか、と。
「‥‥どうして教えるの?」
『約束だからな。‥‥一応待ち合わせをしているからおれも行く予定だが、おれには命じるなよ?』
冗談めかして言う相手に、チャメッ気が見えた気がして、カレンはほんの少しホッとする。
「え、ええ。わかってるわ。‥‥ありがとう」
『‥‥もう切るぞ』
そっけない言葉と共に切れた通話に、もしも会ったら何か命じてやろうかしらとカレンは思った。
「‥‥とにかく、中庭ね」
携帯をしまったカレンは、そう呟くと駈け出した。
ロイドは、それはそれはふか~い溜息を吐いた。
「‥‥どうしたんです?ロイドさん」
それに気づいたセシルが声を掛ける。
「どーしたって言われてもねぇ?どうしてパーツもないのに、ぼくのランスも動かないのに、ぼく達がこんなところでジッとしてないといけないのかなぁと」
ロイドの愚痴にセシルは呆れる。
「‥‥どうしてって‥‥。ロイドさんでしょう?スザク君に無茶な頼み事したの。ランスロットが起動できないのも。それに一応、これも軍務、ですよ?」
「軍務、ねぇ?なんだって学園を完全包囲するのが軍務になるんだか」
トレーラーのモニターにはアッシュフォード学園の門が映し出されていたり、周囲を囲んでいる軍を映しているモニターも有ったりする。
「でも、いかにも騎士団に来てくださいッて言っているようなイベントですから、警戒した方が良いと判断されたんでしょう?」
「普通はイベント自体を中止するとか、そっちに動くんじゃないかなぁ~?」
「ですから、ロイドさんにそれを言う資格はないですって」
見えない位置にナイトメアフレームさえ配備しているのを知っているので、余り強く出れないセシルは、それでもロイドに注意するのだった。
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作成 2008.01.27
アップ 2008.02.03
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学園イベント「黒の騎士団」【5】イベントいよいよスタート。
イベントやっとスタートです。
前置きが長かったようなそうでもなかったような....
イベント自体よりも準備の方が楽しそうかなぁとか思ったらついつい....(汗
生徒会ではミレイとカレンがゼロ役のようです。
授業中に抜け出して会長自らの校内放送が許される........これもお国柄?
ルルは速攻サボリモード全開の上暗躍してますv
このままルルの思惑通り行くのでしょうか?