04 | 2025/05 | 06 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | ||||
4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 |
18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 |
25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 |
──「酒の席」編──
(※原案となる藤ルル会話文を聖魔王様より頂き加工しました。)
注意:軽く(?)違和感がありそうなので、設定だけの別モノと捉えてください。
でんッ。或いは、どんッ。
そんな感じで目の前に置かれた瓶にゼロは仮面の下で目を見開いた。
ゼロの両隣に座っていた藤堂とロイドも一瞬瓶に視線を注いでから置いた当人を睨みあげた。
「何の真似だ?卜部」
藤堂の視線の先には、酒瓶をでんと置いた体勢の卜部が苦笑を浮かべていた。
その後ろには両手に持った酒瓶を掲げて見せる朝比奈がいる。
「騎士団に合流してから、酒盛りしてないなあと思いまして」
「たまには羽目を外しませんか?藤堂さんにゼロ」
卜部と朝比奈の提案に側にいた幹部達が即座に食いついた。
「賛成っ!!賛成賛成賛せ~~~い!!!」
真っ先に叫ぶように同意したのは当然と言うか玉城だ。
しかし間髪入れずに放たれたロイドから鋭い一瞥を受け、玉城は固まった。
ロイドはそのまま再び提案者の卜部と朝比奈へと視線を移した。
「我が君が仮面を外さないでいる事に対する嫌がらせかなー、それはー?」
殺気に近い気が、ロイドと、ゼロの正面にいたダールトンから零れる。
卜部と朝比奈は顔を見合わせ揃って首を振った。
元軍人だった藤堂や四聖剣の目には、ゼロが成人していない事は解るので、始めから参加しないだろうとの読みがあったのだ。
だから卜部と朝比奈にすれば、「許可だけくれたら後はこっちで適当に」と考えただけだったのだ。
しかし、「未成年だし」なんぞと言おうものなら何がどう跳ねるかわからず二人は首を振るだけに終始する。
「‥‥明日も通常作業が出来るなら‥‥好きにすれば良いさ。但し、わたしは参加しないからな」
ゼロの言葉でロイドとダールトンは殺気を引っ込めた。
瞬時に広がる緩んだ空気に、それまで張りつめていたのかと思いながらも息を吐く者が数名。
「卜部、朝比奈。それはどうしたんだ?」
藤堂が二人の手にある酒瓶を示して尋ねる。
「あー‥‥、水、なんだよなー、これの中身は」
「ゼロ。ちなみに福利厚生ッて事で経費で落ちたりしませんかー?」
卜部の言葉に盛大にずっこけた面々は続いた朝比奈の言葉に期待の眼差しをゼロに注いだ。
「良いぞ、‥‥‥‥残っているならな」
ゼロの許可の言葉に沸きかけた一同は「‥‥‥‥はぃ?」と掴み損ねた意味を問う。
「玉城の使い込みを主にそこから充てているからな。福利厚生‥‥団員の娯楽、道楽、だろう?」
玉城の使い込みを道楽だと断じたゼロに、反論出来ない一同は同時に玉城を睨み据えていた。
しかし結局、扇の「大丈夫だ。酒代くらいならば、なんとか‥‥あるから」との言葉で、飲み会が急遽開かれる運びとなった。
仮面を外したゼロ、つまりルルーシュは、室内にいるメンバーを見渡した。
最初にやって来たのは四聖剣を振り切った藤堂だった。
仮面を外す気はないからと酒の席に立ち会う事すらしなかったゼロ──ルルーシュ──が気になったらしい。
なので久々にのんびりとした会話を楽しもうと思ったし、藤堂もそれに同意した。
しかし、すぐにロイドがやって来て、ラクシャータがロイドを追って来て、更にはダールトンまで姿を見せた。
何故か静かに、なんて雰囲気は望めなくなり、話、というか流れは飲み比べへと突き進む。
ルルーシュは諦めの溜息を吐くと肴を用意する為に台所へと向かった。
飲み比べに参加したのは藤堂とロイド、ダールトンの三人、男の意地と言う奴だ。
ラクシャータはその審判をしつつ見物しながら、ルルーシュにも酒を勧めていた。
ルルーシュは何度か断ったものの結局何故か飲む羽目になっていて、ちびりちびりと盃を傾けていた。
しかし飲み比べなので相手を牽制する言葉は飛び交うも。
見ているだけのルルーシュやラクシャータにまで声をかける余裕が段々なくなっていく。
それがルルーシュには物足りなくなる。
ルルーシュは溜息をつくと手に持っていた盃に残っていた酒を干してから口を挟む事にした。
藤堂の正面に座り直したルルーシュは見上げるように藤堂の顔を見る。
「そのくらいでやめませんか?藤堂さん‥‥。それにプリンと将軍も」
いきなりの事に藤堂は驚いて言葉少なに何とか問い掛けた。
「何を‥‥?」
「あー‥‥殿下が『奇跡の藤堂』に敬語使ってるなんてーッ。ダーメですよーぉ、我が君ー」
「煩いぞ、アスプルンド伯爵。殿下に絡むのもやめろ」
ロイドが藤堂の声を掻き消す勢いで割って入り、ダールトンはそれを咎める。
しかしルルーシュの視線はあくまでも藤堂に向かっていた。
「‥‥お酒」
ぽつり、とルルーシュは言葉を足す。
「「「‥‥?」」」
酒がどうしたのか?と、藤堂はルルーシュを見返し、ロイドとダールトンは顔を見合わせてからルルーシュへと視線を向けた。
「‥‥お酒、じゃなくて」
そう言ったルルーシュの上体がくらりと揺れ傾ぐ。
「‥‥っ!ルルー‥‥ッ」
「我が君ッ」「殿下ッ」
慌てたのは三人で、藤堂が手を差し延べて抱き寄せるようにしてルルーシュの身体を支えた。
藤堂の腕の中に収まったルルーシュの片手が持ち上がり、藤堂の頬に添えられる。
それを見た、ロイドは「ぎゃあ、我が君なんて事を~~」と叫び、ダールトンは固まり、ラクシャータは目を見開いた後にやにやと二人を見つめた。
頬にルルーシュの手の感触を感じた藤堂は目を見開いて腕の中のルルーシュを見つめる。
「おれを相手にしてください」
続けられたその言葉に、ラクシャータ以外が固まってしまっても、誰も咎めたりはしないだろう。
ロイドなどは「我が君が‥‥、我が君が‥‥」と言い続けているも目が離せない、と言った有様だ。
「‥‥ルルーシュ君‥‥」
藤堂は突然のルルーシュの言葉に困惑をありありとその表情に乗せて、真意を問うべく名前を呼ぶ。
「藤堂さ、ん」
酔いの為か潤んだ瞳と薄く色付いた頬で見上げられながら掠れた声で名前を呼ばれ、藤堂は言葉を失い、ただルルーシュを見返す。
藤堂も酒が入っているせいか、頬が染まっているように見えるのは気のせいなのか。
「‥‥‥‥」
そんな藤堂の視線から逃れるように瞼が下がり、ルルーシュはそのまま藤堂の胸に顔を埋めた。
「‥‥くぅ」
ルルーシュの口から漏れた言葉を拾い損ね、藤堂はルルーシュの艶やかな黒髪を梳きながら復唱した。
「‥‥『くぅ』?」
しかし、ルルーシュからの反応はない。
「‥‥」
「ルルーシュ君?」
藤堂は訝るように名を呼んだ。
「‥‥むにゃ」
しかしルルーシュの瞳は開かれず、口からついてでたのはかわいらしい寝言で。
「‥‥‥‥‥‥びっくりした」
藤堂は思わずそう言って、息を深々と吐き出していた。
「‥‥‥‥」
ルルーシュの返事は規則正しい寝息だけ。
「我が君が『むにゃ』って‥‥そんなー」
「アスプルンド伯爵。静かにしないか。殿下がお起きになられたら如何致す気だ」
嘆くロイドにダールトンは吐息だけに近い言葉で注意を促す。
ロイドは暫く、ルルーシュの様子を見ていたが、やがて溜息を吐くとこくりと頷いた。
「‥‥‥」
藤堂は腕の中で眠るルルーシュに穏やかな眼差しを向け、その眠りを妨げないように、髪を梳き続けた。
まさか、主の穏やかな眠りを妨げるわけにもいかず、黙り込むロイドとダールトンを促すラクシャータに従ってそっと部屋を後にした。
勿論、ロイドは出る前に藤堂を睨む事は怠らなかったが。
次の日、目が覚めたルルーシュは、一睡もしなかったらしい藤堂の腕の中だった事に激しく動揺する事になった。
その後。
宴会会場となった場所に足を踏み入れたゼロ、藤堂、ロイド、ダールトン、そしてラクシャータが見たものは。
屍累々たる地獄絵図だったとか。
ゼロは自身の記憶が途中からない事を自覚しながらも、幹部一同を正座させて、懇々とした説教大会を開く事になった。
───────────
作成 2008.08.06
アップ 2008.08.11
───────────
黒の騎士団入団試験 【挿話3.5】酒の席編 ゼロ:「そのくらいでやめませんか?藤堂さん‥‥」
すみません、素敵な会話文を頂いたので暴走いたしました。
どうしても入団試験設定で加工してみたくなりまして。
原案となりました会話文を書いてくださいました聖魔王様に許可を頂き載せます。
挿話という形を取りましたが、軽く違うかも知れません。
違和感を感じられた方は、派生の別話と認識して下さいませ。
夏と言えばビール!!ならば宴会!!
という事で、ゼロの正体を知っている者だけを集めてみました。
時期的に言えば、プリン、ダールトンが入った後、オレンジが入る前です。
※ギアス世界がどうかは不明なれど、一言。
「未成年者の飲酒は法律で禁止されております。」ので(笑)