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誰かが接近している。
その報が黒の騎士団の本部を駆け巡ったのは、藤堂と四聖剣が仲間になった次の日だった。
それぞれ物陰に隠れたり、窓から相手を確認しようとしたり、攻撃に適した配置に移動したりと大慌てである。
紅月カレンも、相手を見ようと窓にかかったカーテンの隙間からそっと眺めた。
そして驚いた。
「‥‥‥‥ッんで‥‥」
振り返って少し離れた場所にいた扇に向かって小さく声をかける。
「扇さん、お願い、攻撃はしないで」
「‥‥知ってる奴等なのか?カレン」
カレンは曖昧に頷く。
「女性はみんな、‥‥男は初めて見るけど‥‥」
カレンは、「だから照準を合わせるのなら男の方で」と頼んだ。
「判ってる。おれ達だって無暗に女子供を傷つけたくない。‥‥とにかく、誰かゼロに知らせて来てくれ。カレン、見つかるとマズイなら出るなよ」
扇の言葉に杉山が踵を返し、カレンは頷いた。
車椅子に座ったナナリーと、それを押す咲世子、その両脇を歩くミレイとロイドは警戒する黒の騎士団員を他所に入口から広間へと入ってから止まる。
ロイドは周囲を見渡して、とりあえず目当ての人物を探す事にしたが、それはすぐにわかった。
奥にあるナイトメアフレームの傍に立っているのが遠目にもはっきりとわかったのは白衣のせいだろう。
「あぁ、やっぱりここにいたんだね~、ラクシャータ」
自分には関係がないとナイトメアフレームの整備を続けていたラクシャータは、呼ばれて嫌そうな顔を向けてから作業を中断して出てきた。
「なぁにしにきたわけぇ」
「いやぁ~。いるとは思ってたけど、ホントにいたとはね~。でも、今回は助かったかな~」
にこにことロイドは笑顔満面で言う。
「‥‥‥‥。言っとくけどぉ。あんたなんかの頼みは聞かないからね~」
「そ~言わずにさぁ~。流石に知り合いがいないと頼み難いじゃないか~」
「あんたがそれを気にするわけぇ?」
ロイドがラクシャータと舌戦を繰り広げていると、バラバラと騎士団の団員が出てきて周囲を取り囲んだ。
カレンと扇の会話が行き届いていたのか、照準はロイドだけに向けられている。
「ラクシャータ。‥‥知り合いか?」
「んー。まぁ、以前一緒の研究所にいたってだけだけどぉ~」
「‥‥一体何をしに」
扇が「来たんだ?」と続ける前に、ミレイが一点を指さして「あーーー」と叫んだ。
ミレイはそこに見知った顔を見つけてしまったのである。
「カ、カレン??なんで貴女が黒の騎士団のカッコをしてるの?」
「知り合い?じゃあ丁度良いねぇ。ラクシャータよりは頼みがいがありそうじゃないか~」
ロイドは「あはー」と笑ってラクシャータから視線を外して、既に彼女を関心の外に置いている。
「‥‥ミレイ会長こそ、どうしてこんなところに?てかみんなして‥‥夜逃げ?‥‥まだ夜じゃないけど」
渋々出てきて扇の隣に立ったカレンは、首を傾げつつ思った事を口にする。
「あーおしい。ざ~んね~んでしたー。ちょっとしたお引越し希望中~なんだよね~」
「ロイドさん。余計なチャチャは入れないでください。‥‥えっとね。本題から言えば、キョウトまで連れて行って欲しいと頼みに来たのよ」
ミレイはロイドを黙らせてから、回りくどく言っても納得しないだろうと、ズバッと本題を切り出した。
「‥‥あの。ブリタニア人である会長が、どうしてキョウトへ?」
「‥‥‥‥。それはキョウトにつけばわかると思うわ。‥‥桐原って方とは話が付いてるって事だったから」
「‥‥そのメンツで、あいつの姿がないのが一番不自然なんだけど、どうしたのあいつ」
「一人で先行したらしいわ。ただ、移動中何かあると困るから護衛をつけたいとかって話はしていたのよ」
「‥‥その護衛が黒の騎士団?それってちょっとふざけてない?」
「あは~。でも黒の騎士団って、弱者の味方、なんだよね~。助けを求めてやって来た弱者を追い出す事はまさかしないと思うけども~?」
「てっめぇ。都合の良い時だけ弱者気取る気か?」
「‥‥玉城、あんたはちょっと黙ってて。‥‥てか、扇さん。外野がうるさくて説明ちゃんと聞けないです」
外野がアチコチで交わし合っている囁き声が気になって仕方がないカレンが、ついでに扇に泣きついたところで、バサリと布を翻す音が聞こえた。
「なんだ、この集団は。侵入者となごんで井戸端会議か?害がなければ、持ち場に戻って仕事しろ」
「ゼロッ。てめぇが遅いからこーなってるんだろーがよ。ブリタニア人が迷い込んだんだよ。どーする気だ?」
玉城が早速ゼロに突っかかる。
玉城が吼えるのは何時もの事と、あっさり無視したゼロは、井戸端会議の中心に向かって声をかけた。
「扇、カレン、ディートハルト、ラクシャータ。‥‥藤堂に四聖剣、以外は解散。カレン、四人を第二会議室へ通せ」
「えッ‥‥、わ、わかりました。‥‥会長、とりあえず大人しく付いてきてください」
現れて説明も求めず指示を出したゼロに驚いたカレンだが、肯いてから、小声でミレイに囁いた。
ミレイが頷いたのを確認してから先頭に立って歩き出した。
「呼ばれた者も、第二へ入ってくれ。‥‥‥‥全く、世の中狭すぎるな」
最後に呟くように言ったゼロの言葉は誰の耳にも届かなかったけれど。
第二会議室の奥に不法侵入者四名を通し、扉側に各々居場所を決めた騎士団員。
「‥‥お前達は、ナナリー・ランペルージ、ミレイ・アッシュフォード、ロイド・アスプルンド、篠崎咲世子に間違いないか?」
最初に口を開いたのは、ゼロだった。
呼ばれた四人も、騎士団の団員も一様に驚く。
「ゼロ、何故彼等の名前を知っているんだ?」
扇が四人とゼロとを見比べて、混乱しながらも訊ねる。
しかしゼロは、扇を一瞥すると、無言のまま再び四人に視線を戻した。
「おおあたり~。どうしてわかったのかなぁ?」
「桐原公から連絡が有った。キョウトまでの護衛を黒の騎士団に頼みたい、とな。‥‥どうやって接触するか、検討していたところだ」
相変わらずの口調でゼロに尋ねるロイドに、ゼロは淡々と事実を述べた。
「‥‥ならゼロ。このメンツを選んだのは何故なんだ?」
扇は尚も疑問をぶつける。
「‥‥不確定要素は除いておきたいからだ。顔見知りのようだな?‥‥ラクシャータ、カレン、‥‥それにディートハルト」
ゼロは言って、三人に視線を巡らせるが、呼ばれた三人は驚く。
ゼロが来る前に、ある程度の会話をしていたラクシャータとカレンはともかく、ディートハルトは一同の視線を浴びてしまう羽目に陥っていた。
「あー、良くご存じでしたね、ゼロ。‥‥そちらの、篠崎咲世子さんとは面識がありますが‥‥何故?」
ディートハルトは、すんなりとゼロの言葉を肯定してのけて、悪びれる事なく、何故知っていたのかと逆に訊ねていた。
「貴様が各所にスパイモドキを置いているのは知っている。学校なんぞに置いて何を探っていたのかは知らないがな」
ゼロは質問が返る事を予測していたように、スラスラと応じた。
慌てたのはミレイである。
「ちょっ、ちょっと待って。咲世子さんが来たのって、ゼロや黒の騎士団が現れる、ずっとずっと前なのよ?そんな前から一体、何を探っていたと言うの?」
ミレイの言葉は、ディートハルトと咲世子に向けられた言葉だった。
「良家子息の通う学校では、ドラマが生まれやすいのですよ。彼女には、目についた情報の提供を頼んでいた」
「初めは学内新聞等を流しておりましたが、‥‥途中から情報を『枢木スザク』に関する事と変更されましたので」
咲世子は素直に認めた。
「まぁ。では、時々お書きになっていたお手紙は恋人の方へのものではなく、こちらの方に宛てられていたのですか?」
驚いた声音で、しかし残念そうな響きも載せてナナリーが言う。
「‥‥ディートハルト。貴様の探っていたモノは、アッシュフォード学園そのものか、アッシュフォードの家の方だったのだな」
断定的に言いきったゼロに、流石のディートハルトも驚き、いや驚愕に表情を崩した。
「良くお分かりになりましたね、ゼロ。‥‥わたしは、第三世代のナイトメアフレームが今後どうなって行くのか知りたかったのですが」
ディートハルトのあくまで悪びれない言葉に、ゼロは溜息を吐いて、カレンに声をかける。
「カレン。お前は確かアッシュフォード学園に在籍していたな?」
「は、はい。ミレイ会長とは生徒会で一緒です。生徒会室のある建物に残りの二人がいて‥‥。そっちのロイドって人は知りません」
「ならば、ラクシャータ」
「えっとぉ。そっちの男はプリン伯爵って言う、嫌ぁな奴よぉ。以前同じ研究所にいた事が有ったけど、ホント最悪ぅ」
「ちょっと~、ラクシャータ。何もそこまで言わなくても良いだろう?そ~れ~にぃ、ぼくはそんな名前じゃないって何度言ったらわかるかなぁ」
「なぁに~?あの時はこっちも迷惑していたんだからねぇ」
「‥‥‥‥。つまりかつての同僚か‥‥」
再び言い合いを始めてしまったロイドとラクシャータにゼロは半ば強引に言葉を割り込ませていた。
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作成 2008.01.13
アップ 2008.02.13
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ナナリーin騎士団【2】御一行、騎士団に到着。
ど、堂々やって来過ぎです、もっと注意深くとかしませんか?
しかものっけから我が物顔で....。
動揺しまくる騎士団が気の毒....(汗
一人動じないゼロがバラす人間関係の複雑さ?
「ナナリーin」と銘打ちながら、ナナリー描写少ないなぁ....(汗