(藤ルル/ギャグ?)
笑いの発作が収まらない四聖剣はよろよろと部屋を出て行った。
その状態で藤堂の傍にいると、藤堂が果てしなく落ち込み続けていくようだったからだ。
災難なのは腹を抱えてよろよろと進む3人とその後をとぼとぼと歩く1人を目撃した団員達だった。
普段からは考えられないような四聖剣の有様に、目を疑い、己を疑い、部屋に篭る者が続出したようであった。
藤堂が1人になって暫く、控えめなノックに続いて開いた扉からゼロが入ってきた。
「‥‥藤堂。‥‥1人か?」
いつもなら誰かしらいる四聖剣の姿がなく、ゼロは逆にそれを不思議に思う。
「‥‥‥認めたそうだな?」
藤堂がボソリと呟き、ゼロは首を傾げて「何を?」と聞き返す。
「朝比奈に。おれが‥‥」
「あぁ。あれは藤堂が話したのか?朝比奈の奴、『おれが皇子』だとか言っていたが‥‥」
ゼロの言葉に藤堂は顔を上げ、正面からゼロを見る。
どうやらゼロの中では「藤堂=姫」の図式は存在しないらしいと思って藤堂は心底ホッとした。
「いや‥‥。それに、『皇子』ではなく『王子』。‥‥例えの話だろう?」
そう説明した藤堂、それを墓穴だと人は言うのだろう。
「ん?‥‥‥あぁ、ならば朝比奈が言いたかったのは藤堂が姫だと言う事か?」
さらっと言ったゼロに、藤堂はがっくりと脱力して肩を落とした。
ゼロは珍しい藤堂の姿に仮面の下で破顔すると、藤堂を包み込むように優しく抱きしめた。
「どんな姿でも、おれには貴方が一番ですから」と言うゼロに、藤堂は身を預ける。
ゼロの胸の鼓動が心地良く、藤堂は暫くその音に耳を傾けていた。
その為、藤堂はゼロの「たまには羽目を外すのも良いかも知れないな」と言う呟きを聞き逃した。
藤堂がそれを後悔するのは、少しだけ先になる。
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2008.06.05作成
2008.06.18-2008.06.27up
2008.07.05再録
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