04 | 2025/05 | 06 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | ||||
4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 |
18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 |
25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 |
C.C.がゼロの部屋に戻った時、藤堂とゼロは並んでソファに腰掛け、ゼロが仮面を被ったまま藤堂に寄り掛かって眠っていた。
「仮面を取らなかった事は褒めてやろう、藤堂。‥‥暫く起きないだろうから、そのまま着替えさせてベッドに放り込んでくれ」
痛ましそうにゼロを見下ろしていた藤堂が顔を上げ、C.C.と視線を合わせて来たから、そう言ってC.C.は手に着替えの服をローテーブルの上に放った。
「‥‥おれがゼロの素顔を知っている事は、C.C.も知っているはずだ。‥‥何故今更仮面に拘るのだ?」
藤堂はゼロに聞けなかった分、C.C.へと尋ねる。
「そう、お前はこいつの素顔も、素性も知っているな、藤堂。‥‥ではこう言えば良いか?あの女もまたこいつの事を知っていた、と」
C.C.はギアス云々について語るつもりはなかったし、これはかなり説得力のある話なので、ついでに被ってもらう事にした。
「‥‥ッまさか」
「そのまさかだ。異母兄である事を知っていて傷を負わせた」
C.C.は「嘘は言っていないな」と内心付け加えていた。
「おい、殺気を振りまくなよ。とにかくさっさと着替えさせて横にさせてくれ。‥‥それとお前はまだまだする事が残っているだろう?」
ユーフェミアに対する憎悪が増して思わず殺気を放っていた藤堂は、言われて慌てて気を落ち着ける。
折角眠ったところなのに、起こしてしまってはまずいのだと言う事は、藤堂にしろC.C.にしろ承知していた。
藤堂はゼロを起さないようにそっとゼロをソファに寄り掛からせると、着替えさせ始める。
それを見ながら、C.C.は必要事項を告げ始めた。
「こいつが目を覚ました後、キョウトとの話し合いを望むだろう。桐原を待機させておけ。当面はブリタニアの奇襲に注意しろよ」
「‥‥何をする気だ?」
藤堂は手を止めずに、チラと一瞬C.C.を見てから尋ねた。
「別に。『行政特区』とやらが不発に終わりそうだからな。こいつならこれを機に、こちらの『日本』を別に宣言しそうだと思っただけだ」
それはユーフェミアが「行政特区日本」の件を発表する前に、黒の騎士団内でゼロが明かした今後の展望に有った事だ。
「‥‥可能なのか?」
「さあな。わたしは知らん。こいつがどうする気なのか、本当のところはわからないからな。可能性は押さえておきたいだけだ」
さらりと言い切ったC.C.の言葉に、藤堂は不思議なものを見る目を向ける。
これまで、C.C.はゼロの傍にいたりいなかったりと姿を見せていたが、口を挟んだ事は稀で、いつも我関せずだったのだから当然だろうが。
着替えを終わらせた藤堂はゼロをそっと抱きあげてベッドへと運んで横たえる。
「‥‥まぁ数時間は目を覚まさないだろうから、安心して仕事をしてこい。‥‥起きたら真っ先に連絡を入れてやろう」
ゼロに布団を掛ける藤堂を見やりながら、C.C.はそう言った。
「‥‥急に協力的になったのはどういうわけだ?」
あまりにも違うC.C.に藤堂は戸惑うばかりだ。
「煩い。あのお気楽主従のせいで、こいつが不安定だから、安定剤代わりだ。まさか妹を連れて来るわけにはいかないからな」
C.C.は忌々しげに言うが、今の状態を妹に知らせたりすれば、後で何を言われるかわかったものではないのも事実だ。
「‥‥そうか。‥‥いや、そうじゃなくて、ゼロに対して協力的だと尋ねたのだが‥‥」
自分に掛けられた言葉の意味を理解した藤堂は頷いてから、もう一度言葉を付け加えてC.C.に尋ねた。
「こいつは自分の事には無頓着らしいからな。周りが気にかけるくらいが丁度良いだろうと思ったまでだ。‥‥今は怪我人だしな」
C.C.はそう応じると、「もう行け」と藤堂を追い払う仕草をした。
藤堂は頷いてベッドの傍を離れると、部屋を横切り扉に向かう。
「‥‥藤堂」
自分で追い払おうとしておきながら、C.C.はその背中に声をかけていた。
藤堂は立ち止り振り返る。
「お前は、‥‥こいつを裏切らないか?見捨てないか?置いていかないか?欺かないか?一人にしないか?」
C.C.は藤堂の視線をまっすぐに捉えて、訊ねていた。
藤堂は、初めてC.C.と向き合ったように、少なくとも真正面から視線を合わせたのは初めてだと思った。
「おれは、裏切ったりしない。見捨てたりもしない。置き去りにもしないし、一人にもしない。‥‥決して欺いたりもしない。‥‥誓う」
藤堂は、ひとつ息を吐くとC.C.を相手に何かの儀式のように言いきった。
それを聞いてC.C.は笑みを見せる。
「そうか‥‥。‥‥ならば、わたしの出番はまだ先になりそうだな」
そう呟いたC.C.は藤堂から興味を失ったかのようにベッドで眠るゼロに向きなおった。
「‥‥お前がどういうつもりなのかは知らないが、‥‥今は彼を頼む」
藤堂はC.C.にそれだけを言うと、部屋を出た。
部屋に残ったC.C.は、おもむろにゼロの仮面に手をかけてそっと外す。
目を閉じたルルーシュは、今まで通りの寝顔で眠っている。
だが、瞼の奥にある瞳の色は、片方は紫だが、もう片方は赤くなっているのを、C.C.は知っている。
失血のせいで、元から白い肌は、紙のように色をなくしてしまっている。
C.C.は手に持っていた黒いバンダナを左目を覆うように斜めに巻きつけて結んだ。
「‥‥王の力は、お前を孤独にする。‥‥だが、わたしと、あの男だけは、お前の傍に残りそうだぞ。‥‥それとお前の妹‥‥か」
C.C.は溜息を吐くと、ベッドに乗り出した身を引いて、近くの椅子に座った。
「‥‥あのお姫様の事があるから、妹の事も考える必要があるな‥‥。‥‥早く元気になれ、ルルーシュ」
C.C.は祈るように呟いていた。
───────────
作成 2008.01.06
アップ 2008.01.24
───────────
「おれを撃て」【6】ゼロの私室にてC.C.+藤堂。
C.C.のせいだけど、藤堂誤解街道まっしぐら。
これでいつでもユフィを殺せそう‥‥(汗
藤ルルかどうかはさておき、(藤+C.C.)-->ルルなのは間違いなさそう‥‥。
このままで、「合衆国日本」にまで辿り着けるかな~。