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★霧崎睦月様へのリクエスト作品★
(藤ルル/白主従糾弾)
「‥‥ところでスザク君。君達こそ何故ここにいるんだ?」
藤堂が、重い口調でスザクに問いかける。
「え‥‥っと。それはルルーシュとは友達だから」
「君は騎士になったのだろう?ブリタニア第三皇女の。とてもその自覚を持っているとは思えないが」
藤堂はチラとユーフェミアを見てから、厳しい声音のまま非難した。
その唐突な始まりに、ルルーシュまでもが驚いた。
目を見張って自分を見るルルーシュに藤堂は気付いたが、やめる気も抑える気もなかった。
何故なら、藤堂が思っていた以上に発揮されている、この目の前の二人のお気楽振りに呆れたからだ。
「そんな事ありませんわ。スザクは良くやってくれています」
自分が選んだ騎士を悪く言われてむっとしたのか、スザクがけなされて怒ったのか、ユーフェミアが反論する。
「良くやる‥‥というのが、お忍びと称して主を一人連れ出す事を差すのか?それならば一人で対処できない事もあると学んだ方が良いぞ、スザク君」
「そんな‥‥スザクはちゃんとわたしを守ってくれますわ」
「君もだ。第三皇女。『ただの』と言うが、どう足掻こうが皇族だろう?結果まで考えて行動する事を誰にも教わらなかったのか?」
藤堂の言葉に容赦は存在しなかった。
「わたくしとて考えています」
「ならば考えが足りないのだな。姉の第二皇女にでも周囲の補佐する大人達にでも尋ねれば、周囲を振り回して呆れられる事も少なくなるだろう」
藤堂の言葉に、「『なくなる』と言わないところが藤堂らしいな」とルルーシュは思う。
「なッ‥‥藤堂さん。ルルーシュ達の事はユフィ以外知らないんです。他の皇族や、軍人に相談なんてッ」
慌てて割って入るスザクに、藤堂は氷のように鋭い眼差しを向けた。
「お前達はッ!そこまで頭が回りながら、何故、その先を考えないのだ!?」
声を荒げて藤堂は二人を断罪するが、二人は戸惑いながら首を傾げるだけだった。
「皇族の行動は護衛という名の監視がつく。騎士になる者の周囲には調査の手が入る。何故それでこの場に現れるのだ!」
「‥‥ッだけど、ぼくはッ」
「騎士になったのならば、即座にルルーシュ君との繋がりを断つべきだったのだと言っている。それが嫌ならばそもそも君は騎士になるべきではなかったのだ」
「ですがッ!」
「中途半端に関わって、ルルーシュ君を苦しめるだけ苦しめて、その事にすら気付かない。何故お前達はルルーシュ君の気持ちを考えない!?」
藤堂の言葉に、ユーフェミアとスザクの視線がルルーシュに流れる。
「‥‥だ、だって。‥‥ルルーシュは『おめでとう』って、ぼくにそう言ってくれて‥‥」
スザクの眼差しは既に助けを求めるかのように揺れていて、ルルーシュは溜息を吐いた。
「めでたいんだろう?‥‥スザクにとっては。なら、友達としては祝福してやるべきなんだろう?‥‥『君は喜んでくれる?』って目で見られたらな」
ルルーシュはそう応じて、最近の習い性になっている笑みを浮かべた。
「‥‥ルルーシュ君。『無理に笑う必要はない』と言ったはずだ。‥‥いつもそんな表情で笑っていたのか?君は」
痛ましそうに、藤堂はルルーシュの作った笑みを浮かべる頬に手を滑らせ、ルルーシュの表情から不自然な笑みが消えた。
藤堂が「そんな」という笑みが、どんな表情を差すのかわからず、ルルーシュは藤堂の手を振り払うでもなく首を傾げた。
「ルルーシュ。わたくしが貴方を苦しめていたというのは本当なのですか?わたくしは貴方やナナリーが安心して暮らせる場所を」
ユーフェミアの更に続くだろう言葉を、ルルーシュは聞きたくなくて「ユフィ」と名前を呼ぶ事で遮った。
「君は勘違いをしているぞ、第三皇女。政事に私情を挟んではいけないと、言われた事はないか?公私の区別は必要だ」
続けたのは藤堂だった。
「むッ。‥‥わたくしとてそのくらいの事は知っています」
「とてもそうは思えない。ルルーシュ君達の為に『特区』を作る?『日本人の為』と謳っておきながら!それの何処が公私混同ではないというのだ!?」
段々とヒートアップする藤堂を、ルルーシュが止めた。
「藤堂さん。そこまでで良いです。一度にそれ以上言っても、二人には整理できないでしょうから」
ルルーシュの視線の先では、愕然とした表情で項垂れる二人がいる。
「ユフィ。スザク。今日はもう帰れ。話ができる状態でもなさそうだし」
「‥‥今のうちに言っておくが、改善が見られないようならば、何度でも言うぞ?」
藤堂の言葉はどう聞いても、「来るなら来い。返り討ちにしてやる」にしか聞こえない。
「あ、‥‥あの、さ。る、ルルーシュ。‥‥藤堂さんは、ま、また来る、のかぃ?」
藤堂のいない時を見計らおうとでも思ったのか、スザクは上滑りする思考で尋ねる。
「‥‥それを聞いてどうする?スザク君。今度は軍人として、ここまで捕まえに来るのか?」
「違いますッ」
藤堂の言葉を慌てて否定するが、藤堂の言った事の方が軍人としては正しいのだと、スザクは考えつかないらしい。
ルルーシュは溜息を吐き、藤堂も遅れて溜息を零す。
「咲世子さん。帰るそうだから、二人を玄関まで送ってください」
ルルーシュの言葉に、二人はもう言葉もなく立ち上がった。
なんだか、色々と言われすぎて、頭が真っ白になって、「一体今日は何をしに来たんだろう?」なんて二人は考える。
咲世子が開いた扉に向かう途中で、チラとルルーシュを振り返ったユーフェミアとスザクは、振り返った事を後悔した。
とうとう尋ねる事が出来なかった問い、「ルルーシュと藤堂さんの関係って‥‥?」の答えがそこにあったからだ。
藤堂は先程までの刺々しい雰囲気を払拭してルルーシュを優しく抱きしめ、ルルーシュも安らいだ状態で身を預けていた。
「さぁ、まいりましょう。お二方。これ以上ここにいては馬に蹴られてしまいますわ」
咲世子が二人の耳元で、こっそりと囁くその声の調子とその笑顔に、逆らってはいけないと思った二人は、静かに廊下に出て、扉が閉まるのを見た。
「ルルーシュ。‥‥筋書きを無視してしまって、すまなかったな」
ユーフェミアとスザクがいなくなってやっと落ち着いた藤堂は、カッとなっていた自覚があるだけにルルーシュに謝った。
「いや。初めから加わっていてくれたお陰で、色々すっ飛ばせたから、却って良かった」
ルルーシュは首を振って応じてから、藤堂の胸に顔を埋めた。
「‥‥どうした?やはり、堪えたか?」
心配して尋ねながら、藤堂は優しくルルーシュの髪を梳く。
「違う‥‥。こうしていると落ち着いて‥‥暫くこのままでいて良いか?」
すっかり安心しきった様子で言うルルーシュに、藤堂はルルーシュに見えないのを良い事に顔を顰めながらも頷いた。
「あぁ。なんなら暫くと言わず、今日はずっとこうしていても良いぞ?」
藤堂は「これでこの先もずっと安心されていると、おれの抑えが利かなくなるが」と言う考えは、慎重に押さえ込んだ。
こんな時くらい、いつも以上に優しくしようと藤堂は思うのだ。
許可を得て顔を上げるルルーシュに、藤堂は即座に渋面を解く。
ルルーシュは心の底からの嬉しそうな笑みを藤堂に見せると、再びその胸に顔を埋めたのだった。
一方、政庁に戻ったユーフェミアとスザクは、コーネリアとダールトン、ギルフォードからきついお叱りの言葉を頂いて、更なるダメージを受けていた。
了
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作成 2008.04.23
アップ 2008.04.30
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霧崎睦月様へ。
お気に召していただけましたでしょうか?
リクエスト内容に合致しているかはいまいち不明ですが、
どうぞ、お受け取りください。