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ゼロはその日、ガウェインの整備をする為にアジトに来ていた。
いつもはC.C.が一人でやって来ては整備をおこない、報酬のピザを夢見てほくほく顔で帰って行くのだが。
この日は何故かゼロが一人でやって来ていて、C.C.の姿はなかった。
初めは、確かにガウェインの整備に専念していたゼロだったが、折角ゼロが来たのだしと、あれこれと確認やら指示を求めにやって来る者が後を絶たず。
ゼロの作業はあまり捗ってはいなかった。
ふと、ゼロはガウェインのコックピットから外を、窓の外を見て固まった。
身動ぎ一つせずに、ジッと窓の外を見たままなのだ。
例に漏れず指示を仰ぎに来た藤堂は、その様子を見て、同じように視線を窓の外へと向けた。
そこには鯉のぼりが泳いでいて、「あぁ、今日は子供の日だったか?」と納得した。
「‥‥ゼロ?鯉のぼりを見ているのか?」
ゼロが素直に頷くとは思っていなかった藤堂だが、ついそう尋ねていた。
「‥‥‥‥あ、あぁ。あれは親子だろう?‥‥仲が良さそうだと、思って、って藤堂ッ!」
鯉のぼりに気を取られていたのか、さらっと頷いて応えていたゼロは、ハタと状況に気付いたらしく慌て出した。
藤堂は驚いた表情を一瞬浮かべたものの、周囲に他に人がいない事を確認してから、肯いた。
「あぁ、そうだ。父親と母親、それに子供達だな。‥‥まだ出しているところがあるとは思わなかったが‥‥羨ましいと思ったのか?」
「ッ‥‥羨ましいだと!?それは違うぞ、藤堂。お前は思い違いをしている」
「そうか?‥‥今日は子供の日だ。君も今日くらい普通の子供に戻っても誰も文句は言わないと思うが?」
「‥‥‥‥わたしを、子供だと?」
「あぁ。随分と若く見える。まだ二十歳にも届いていないだろう?ならば十分子供だと思うが?」
「‥‥わたしは、」
ゼロが言いかけるが、それを遮って藤堂は続ける。
「ゼロ。おれは軍人で、体格を見ればわかる事もある。だが、君以上に騎士団を纏められる者がいないから、君に頼ってしまっているがな」
「‥‥はぁ。言っておくが、他の者には言うなよ?それと、『普通の子供に戻れ』と言うが、では普通の子供とは何をしているのだ?」
諦めの溜息の後、ゼロは藤堂に口止めをしてから、首を傾げて尋ねる。
改めて尋ねられて、藤堂も唸りながら考え、言葉を紡ぐ。
「家族と過ごしたり、友人と遊んだり、‥‥か?」
「なるほどな。たった一人の家族は、この連休を利用して友人と旅行に出かけている。いつもわたしが家を空けてばかりだからな。たまには良いだろう?」
ゼロの苦笑を察した藤堂は、だからゼロがアジトに来たのだと気付く。
「‥‥では、もし今日の予定が他にないのならば、整備が終わったら、おれの部屋に来ないか?」
「お前の?確かに予定はないが、それでどうするのだ?」
「今日だけ、おれがお前の家族になってやろう。父でも兄でも、好きに思えば良い。そして甘えろ」
藤堂の断定、命令口調に、ゼロは藤堂をじっと見た後、ポツリと呟いた。
「‥‥‥‥。いっておくが、仮面は取らないぞ?」
「それで構わない」
「そうか。‥‥そうだな、ならば今日だけ、わたしの兄になれ。藤堂、‥‥いや、鏡志朗。後で行く」
「わかった。‥‥待っている、ゼロ」
同意したゼロに、藤堂は何故かホッとした様子で頷いて、そう言うと踵を返して去って行った。
その日、藤堂の部屋で、四聖剣は不思議なものを数多く目にする事になった。
よもや、藤堂の膝を借りて横になるゼロを拝む事になるとは思わなかった、と卜部は肩を落とした。
まさか、ゼロが藤堂を「鏡志朗」などと名前で呼び捨てにするのを耳にするとは思わなかった、と仙波も耳を疑った。
千葉は「てか、どーしてゼロがここで藤堂さんとあーんなに密着してるんですか?」と小声で叫ぶ朝比奈の言葉を耳に、二人を見つめていた。
朝比奈は様々な言葉を小声で器用に叫びながら、二人の間に割って入れない雰囲気を感じて涙を流していた。
了
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作成 2008.05.05
アップ 2008.05.05
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鯉のぼりと団欒 ゼロ+藤堂+四聖剣。
ゼロがアジトから鯉のぼりを目にしましたとさ?
ゼロと藤堂の語りと、四聖剣の目撃証言?
あまり団欒らしくないかもしれませんね、これ....(汗
アップしようとしたら、子供の日なのを思い出しました。
即席なので、色々中途半端で終わりです。